精霊棚の飾り方「私達も一日一度は祖先に合掌」
お盆がくると、その期間中には盆棚(あるいは精霊棚)と呼ばれる特別な祭壇をつくるならわしである。精霊のお供え方(京都に於て)
これは、仏壇の前の台の上に蓮の葉を敷き、その上にホトケの施食用のホウズキやソーメン、季節の野菜類を供える。ホウズキは提灯、ソーメンは喜びを細く長くという縁起から起こったもので、麺類を使うのは麦の収穫祭を兼ねているかららしい。
棚には普段、仏壇の中に収めてある先祖の位牌を移し、霊前ヘの膳や季節の野菜や果実や花を供える。また、蓮の葉の上にはナスやキュウリの細切りを洗米とまぜたミズノコを作り、別の器には水を入れ、萩の希で供物に注ぐところもある。これは百味飲食(ひゃくみおんじき)といって、すベての餓鬼に飲食物の施しをするしぐさである。送り団子は六地蔵に供えるところから六つ作ることになっている。こうした供え物は送り盆の十六日に精霊舟にのせて、ホトケと共にあの世に送り出すのであるが、最近は供物は最寄りの寺院等で集めるようになっている。
生花や生果を仏前に供える風習は、東南アジア一帯に広く見られるものであり、それこそお盆の時だけでなく、毎朝供えて敬虔な析りをささげる。われわれも一日に一度は祖先の霊に対して合掌したいものである。
特に生花や生果を仏壇に供えるということは、アメリカやヨーロッパの墓前に見かける色あせた造花の供養より、よほど供えた人の人間味があふれているように思われるのである。
◎ひとの邪曲をみるなかれ、ひとのこれをなし、かれをせさざるを見るなかれ、ただおのれの何をなし、何をなさざりしを想うべし(法句経)