念珠の話
念珠の起源は数をかぞえるために、バラ玉を改良して木や草の実をつなぎあわせてつくられたものといわれています。それが後世に形式化されて、仏を礼拝するための仏具として広く用いられるようになったのです。
仏教では支那朝鮮、西蔵(チベット)、日本などで一般に普及し、特に真言宗では重要視されています。また、念珠は仏教以外の宗教にも広がり、マホメット教、カトリック教などでも各々独自のものを使用しています。
わが国で特に一般の仏教信者の間に広く普及し出したのは、鎌倉時代に念仏や陀羅尼をとなえた数をかぞえること以外に、仏を礼拝するという新しい用途がうまれ、また密教が広く信ぜられるようになって、念珠をすり合わせることがおこなわれるようになり、その音のでるところから重要視されるなど、信徒も僧侶と同じように使用することになったのです。
二連数珠、一連数珠は、合掌したてのひらにかけ、両方の親指で軽くおさえます。胸の前の両手の間は一握りほど離します。菩提樹や珊瑚(サンゴ)などが材料として用いられますが、特に水晶は魔除けとして昔から多く用いられています。
◎仏のたまわく「弦ゆるきときは如何」、対えていわく「鳴らず」「弦急るときは如何」対ていわく「声絶ゆ」(四十二章経)