初詣はどこヘ行けばよいのでしようか
しみじみと除夜の鐘をききながら手を合わせる気持が、去りゆく一年ヘの感謝と反省なら、東天を紅にそめる初日の出とともに行なう合掌は、この一年ヘの誓いと願いでありましょう。
正月には中世以降、陰陽道のいいつたえによりまして、歳徳神のつかさどる方向といわれる恵方詣りが現在もおこなわれていますが、台風ではあるまいし、幸福のくる方がくがその年によって西南西とか、東南東とかきまっていて、みんながそこヘ押しかけるなど、考えてみればおかしな話です。
本当の吉方、正しい初詣とはこれからはじまる一年の努力ヘの強いちかいであり、おまもりを願うためですから、もっともふさわしい場所は自分が日常信じている場所であります。そしていつでも無条件に子孫の幸福を願って下さる祖先のおられるところです。
すがすがしい朝に祖先のお墓を清めて若水をそなえ、香や花をそなえるとき、必ずやそら頼みでない加護があたえられ、希望をなしとげる安心感がわいてくることでしよう。
◎道徳ある者は衆を楽しましめ、道徳無き者は身を楽しむ。衆を楽しましむるものは長じ、身を楽しむものは亡ぷ(禅門宝訓集)