ダルマと縁起
ダルマさんは本名を菩提達磨(ボーデイダルマ)といって、禅の教えを伝えるために、南インドから六世紀なかぱ頃に中国に渡ってきた人です。
梁の武帝に召されて禅の教えを説きましたが、理解してもらうことができなかったので嵩山(すうざん)少林寺にはいり、壁に向って坐禅すること九年、その姿を写したのがいわゆるダルマさんです。壁に向って修行している九年の間に慧可(えか)という熱心なお弟子さんが、自分の肘(ひじ)を断ってまで法を求めたという話も有名なことです。
ダルマさんがどんな困難にもめげずに、一心に自己の初期の目的をつらぬき通したという努力が、あののび放題のひげや眉毛にあらわされ、どんなに転(ころ)がされても起き上るという七転八起の精神力が縁起ものにっけられるようになったもとなのでしよう。
この頃、目無しダルマに願いごとがかなったとき、眼を入れるのが流行して、よくテレビなどで見かけますが、これはあくまでも真理を求めるダルマさんの本来の姿を忘れてしまっては、いくらにこにこして眼だけを書き入れても、それは「ほとけ造って魂入れず」になってしまいます。ダルマさんに眼を入れるときには願いごとの成功によって新しい貢任が生まれたことを深く自覚するようにしたいものです。
◎己れ身心の教えを得れば、また他を教え難からず、余を教えんと欲せばまた自らを教よ(仏治身経)