手をあわす心

お位牌に白木・黒塗り・金箔などあるのはどういうわけですか

お位牌は戒名などのほか、亡くなった方の俗名、歿年なども書き入れることからもわかるように、故人の生前の記録と合わせて、歿後の象徴としようとしたものです。したがって、亡くなった方が生前の業績と、中陰といわれる七、七、四十九日間のお析りの成果にあわせて、仏さまの世界ヘおさまられるまでの期間は、道中の仮の姿というわけで白木、ちゃんと仏さまにおなりになった満中陰(四十九旦以後は黒塗りの永久的なお位牌にするわけです。金箔を押したものは、仏さまの世界=浄土ヘ生れ、あるいは成仏された故人が、もう迷いのこの世界に立戻って、ふたたび生滅変化を繰返さないことを、永久不変の金の性質によってあらわそうとしたものです。

この頃、赤や青に塗りたてたお位牌を見せられたことがありますが、寂静の世界に住む方をあらわすには、やはり白、黒、金箔といった最も単純な色が一番ふさわしいように思われます。あまりごてごてした飾りは、おまつりしている方の心なさを思わせるようですから避けたいものだと思います。

◎生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し(秘蔵宝鑰)